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イメージ調査から見た居住系地域の グランドデザインの課題について    ―盛岡市上田黒石野平地区を事例としてー 

さあどうする!これからの盛岡 第19回
NPO都市デザイン総合研究センター理事長
(工学博士 岩手大学名誉教授   安 藤 昭
平成26年6月6日(土)に、盛岡市上田黒石野平地区の景観写真105枚を用いて実施した地区住民(緑ヶ丘3丁目の住民:成人男女50名)による生活景の評価実験の直後に実施した当地域のイメージ調査の解析結果を図―1に示す(景観写真による生活景の評価実験の結果は、平成27年10月19日付の盛岡タイムスに掲載)。 
調査対象地域は、上田黒石野平地区を中核として、東側を南北に走る梨木町―上米内線と、西側を北から南へ向かって流下する北上川に挟まれた地域で、南側に位置する高松の池と北側の標高2、711m(比高110m)の大森山(大森山の山麓の一部は小鹿公園)によって囲まれた住居系地域で、黒石野中学校の学区別人口17、700人(平成27年7月23日現在)を念頭において設定したものである。 当地域は、北東部に位置する黒石山(標高251m;比高約91m)の西側山麓のなだらかな傾斜面と北上川左岸の河岸段丘上に拓かれた住宅地で、住宅地内からは黒石山が眺望でき、地区内の緑ヶ丘小学校と高松小学校及び黒石野中学校からは盛岡市の象徴である岩手山が眺望できる。北方に位置する四十四田公園からは四十四田ダムを俯瞰し岩手山を仰望できる。また地区の要所からは美しい北上川流軸景のアイストップとして岩手山を眺望でき、地区の南に位置する高松の池(高松公園)は日本の湖水百選に選定されるという風光明美な住宅地である。
地域を貫通する市道上田―深沢線沿いの近隣商業地域には近隣商業などのサービス施設がある。地区の要所には、公民館、地域活動センター、児童老人福祉センター、児童センター他の公共施設が配置されており、公園・グリーンプロットは大小10か所あり、その一部には抽象彫刻や具象彫刻が設置されている。当調査対象地域は現在でこそ黒石野パークタウン(東黒石野1丁目)や上田グリーンヒルズ(黒石野1丁目)、緑ヶ丘ヒルズ(緑ヶ丘2丁目)のように区画整理された団地も見られるようになったが、昭和44年の黒石野平町内会発足(360世帯)当初から自然発生的に発展してきた住宅地であるため、区画街路は歩道も少なく、複雑に屈折しているところが多い。
そして、近年は、当調査対象地域においても全国の都市に見られるところの人口減少、少子高齢化に伴う“空き家“の対策が重要な課題になってきている。
上述のように、黒石野平地区は盛岡市における近郊居住系地域の典型であることが知られるが、図―1に示された地区住民のイメージ調査の解析結果を通して、盛岡市における居住系地域におけるグランドデザインの課題と展望についてまとめれば以下のように示される。
黒石野平地区のイメージマップ (1) 
1.黒石野平の地区イメージは、地区を南北に貫通する市道上田―深沢線によって分断されている。
そのため、市道上田線―深沢線の西部から北上川の東部一帯のイメージ再生率(%)が低い。
2.黒石野平地区には緑ヶ丘小学校を中核として高松小学校と黒石野中学校があるが、それぞれ3つの学区は市道上田―深沢線と庚申窪―三ツ割線によって分断されている。そのため、学区の再編を検討するとともに、これを契機に地域社会のイノベーション(変革)を図ることが望まれる。
3.近隣商業地域にはアネックス・カワトクを始めとする地域の核店舗が存在することが認識されている。景観写真を用いた生活景の調査においても、地域住民の都心部への主要な交通機関であるアネクス・バスのサービスに対する評価が高かった点が注目される。
4.緑ヶ丘3丁目の街路構成は、住区内幹線街路、区画街路、グリーンモール、山麓線等の多くの街路が認識されていることが知られる。しかし、景観写真を用いたインフラ機能空間の評価は4類型の中で最も低かったことから、街路機能空間の個性表現が必要であると思われる。
5.高松の池(高松公園)、黒石山、岩手山、北上川等の生物的環境(自然)に対するイメージ再生率(%)は高い。中でも高松の池のイメージ再生率は非常に高いことが解る。そのため、これらの生物的環境の維持管理に努めるとともに、黒石野平地区との一体整備が望まれる。
6.平和の礎(佐藤忠良・具象彫刻)(1994)、時の化石((松川善幸・抽象彫刻)(1989)等の、黒石野平地区に10個以上存在する野外芸術作品のイメージ再生率は極めて低い。この結果は野外彫刻の選考の方法に問題があるように思われる。今後、彫刻を設置する場合には、住民参加方式等によって検討することが考えられる。
高度情報化時代を迎えて、地球的規模でメガシティ(Mega city;人口800万人以上の都市)が急成長し巨大都市圏が形成されつつある中、地方中核都市盛岡市の住居系地域のグランドデザインの課題は多い。
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