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「心地良いまち」を目指そう 

都市デザイン総合研究センター 理事 中澤昭典

アメリカの心理学者のマズロー(1908年~1970年)は、人間の欲求を次の5段階に分けて表せるとした、「1.生理的欲求」「2.安全の欲求」「3.所属と愛の欲求」「4.承認(尊厳)の欲求」「5.自己実現の欲求」。これを大きく2つに区分して、1〜2を物質的欲求、3〜5を精神的欲求に区分されるとしている。
マズロー

それでは、このフィルターを通して盛岡という都市を見るとどうなるだろうか。藩政時代からの治水対策や町の区画整備、そして戦後高度成長期を経て、松園団地を始めとするニュータウン建設、盛岡バイパス道路や盛南開発などが進められた結果、住宅不足や交通渋滞が解消され、不足するインフラを充足させる形は出来上がってきた。20世紀までの都市づくりは、このように「不足を充足すること」により「物質的欲求」を満たすことが主眼であり、この点から見ればかなりの成果を上げてきたと言える。
しかし、21世紀に入って人口減少という歴史的な大転換の波が押し寄せてきた。盛岡をはじめとする地方都市では、人口減少と高齢化が同時に進行し始めており、これまでの拡大路線からの転換を余儀なくされてきている。
さて、それではどういう街づくりを目指せばいいのだろうか。市内中心に住む高齢の女性は「最近は安心して街を歩けない。ちょっとでも油断すると車にはねられそうになる」と嘆く。これまでのまちづくりにより道路網は整備されてきたはずであるが、整備の指標は経済発展のための効率的輸送路としての道路整備が中心であった。しかしこれから求められるものは、高齢者を含めてそこに暮らす人々が心豊かに暮らしていけるまちづくりである。マズローの唱える「精神的な欲求」に応えられる街である。
私はそこに「心地良い」というまちづくりの指標を提案したい。
「美しいまち」「きれいなまち」「清潔なまち」「楽しいまち」「自然豊かなまち」「賑わいのあるまち」「のどかなまち」・・・・。これらを包括する「心地良い暮らしのできる、居心地の良いまち」である
盛岡というまちは、特に街並みが美しいわけでもなく、特に活気があるわけでもなく、特別な観光名所があるわけでもない。しかし、住んで、暮らして、訪れてみて「何となく心地良いまち」なのである。
岩手大学都市計画教室で長く教鞭をふるった安藤昭博士は、これからの街づくりに対して「近代化の修復」を提唱している。20世紀の物質的な都市拡大に対して精神的な欲求を満たす街づくりが追い付いていないということだと私は解釈している。
人口減少と高齢化に対応したまちづくりは全国的な課題である。「近代化の修復」を図りながら「心地良いまち」を目指すことはどういうまちづくりなのだろうか。まちづくりとは模索である。
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