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人口はなぜ減少・移動するのか(都市デザイン論壇第15回) 

                        中澤昭典

人口減少が地域の将来に大きな問題となるという議論が続いている。人はなぜ集まり集落を形成しなぜ移動してゆくのだろうか。
人が集まり、集落が形成され都市へと発展するためには動機が必要である。人口移動の最も大きな動機は経済的な優位性である。農業、林業、漁業、あるいは鉱山など、経済活動に優位性があるところに人が集まり集落が形成される。そして、生産を拡大するため労働需要が発生し人口が増加する。生産が拡大すれば、物流や交換のため「市(いち)」が生まれ、それらを管理する「政治(まつりごと)」が行われる都市が発達する。
産業革命後には工業都市に工場労働需要が発生し、農村から都市部に人口は移動し、都市はさらに拡大発展した。都市人口を養う食料生産のため、開墾が行われて農地は山間部や沖積平野にまで拡大してきた。
大雑把に見ると20世紀まではこのようなトレンドの中で、人口が拡散し、都市は拡大してきた。
しかし20世紀の終盤から、地球規模での情報化や物流の発達により世界的な分業が急速に拡大し、新たな人口の流れが始まった。
先進国では、より生産性の高い3次産業に経済がシフトしてきた。GDPの3次産業の占める割合は、アメリカ79.4%、ドイツ69%、イギリス78.9%。日本も先進国の例に漏れず、3次産業が73.2%で1次産業の占める割合は僅か1.1%まで減少してきている。この結果、先進国では肉体労働から知的労働へと労働市場が変化し、さらに、生産部門の機械化や管理部門がコンピュータ化により効率化が進むと、労働市場全体の中でも少数精鋭化が進んできている。
さらに、サービス業などの3次産業は人口集積地にあることが有利であるため、地方都市から中核都市へ、さらに中核都市から大都市へと、これまでの分散の流れが反転して、都市への人口集中移動が始まってきている。
一方家庭では、子供の教育負担の増加などから少子化が進み、アメリカを除く全ての先進国で合計特殊出生率は2.0を下回ってきている。
このように世界中全ての先進国で、少子化と都市への人口集中が大きな潮流となってきている。
さて、このような大きな歴史の流れの中で、地域はどのようになっていくのだろうか。
岩手県の人口は100年前には80万人だったものが、高度成長期には140万人を超えた。しかし、1次産業や鉱山の衰退とともに減少に転じて、現在127万人まで減少してきている。盛岡市の人口も50年前には15万人だったものが、30万人まで拡大してきたがほぼ頭打ちとなっており、今後は徐々に減少が見込まれている。このように県内でも過去100年間は人口が大幅に増加し、これに対応するため、無理やり山を削り谷を埋めて人間の活動範囲を広げてきたのだったが、今徐々に縮小へと動き始めてきている。
このような流れの中で考えると、今始まった人口減少の流れは、産業構造の転換を反映して、過剰に拡散した人口を適正配置に戻すための調整と見ることもできる。
世の中の先を予測することは困難なことだが、大きな動きを鳥瞰してみることにより、そこから新しいトレンドを探し出し、新しい流れの中で次の時代に向かっていくことは必要だ。
人口や都市の問題においては、過去の成功体験にしがみついて無駄な投資を繰り返すことは避けなければならないが、必要以上に悲観論に傾倒する必要もない。街の変化や人口減少は世代をまたがって徐々に進行するので、短絡的な視点や政策に惑わされることなく、大きな流れや根本原因をしっかり把握して、じっくり腰を据えて取り組んでいく視点が求められる。
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