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生活景に対する共通認識醸成のための景観評価の解析 ―盛岡市上田黒石野平地区を事例としてー(都市デザイン論壇第14回) 

NPO都市デザイン総合研究センター理事長(工学博士 岩手大学名誉教授)
安藤 昭
上田黒石野平地区は、国道4号バイパスと交差して松園ニュータウンへ向かう市道上田―深沢線沿いの、盛岡市の中心市街地から北方約4㎞に位置する住宅地である。調査対象地域は、この上田黒石野平地区を中核として多少広く、東側を南北に走る梨木町―上米内線と、西側を北から南へ向かって流下する北上川に挟まれた地域で、南側に位置する高松の池と北側の大森山(標高2,711m、比高110m)によって囲まれた住居系地域で、黒石野中学校の学区と学区別人口で17,700人(平成27年7月23日現在)を念頭において設定したものである。調査対象地域は、北東部に位置する黒石山(標高251m;比高約91m)の北西部・西部・北東部・東部の緩やかな傾斜の山麓と北上川左岸の河岸段丘上に拓かれた風光明美住宅地で、住宅地内からは黒石山の全容が眺望でき、二つの小学校とひとつの中学校からは盛岡市の象徴である岩手山が眺望できる。当該地域には、現在でこそ黒石野パークタウン(東黒石野1丁目)や上田グリーンヒルズ(黒石野1丁目)、緑ヶ丘ヒルズ(緑ヶ丘2丁目)のように区画整理された団地も見られるようになったが、昭和44年の黒石野平町内会発足当初から自然発生的に作られた住宅地であるため区画街路は不整形で、複雑に屈折しているところが多い。地区の要所には、公民館、地域活動センター、児童老人福祉センター、児童センター他の公共施設が配置されており、児童公園・グリーンプロットは10か所配置されている。
景観写真105枚を用いて実施した黒石野平地区の景観評価実験の解析の結果を図―1に示す。
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図―1黒石野平地区の景観評価実験の結果
実施年月日;平成27年6月6日、場所;緑ヶ丘公民館/集合調査法による
被験者;地区住民成人50人(男子17名、女子33名)
なお、図―1は、①生物的環境、②インフラ機能空間、③文化現象としての景観、④心理現象としての景観という都市景観の典型的な4類型に基づいて整理したものである。解析結果を要約すれば以下のように示される。
1.高松の池、芝水園(釣堀)、旧競馬場跡地からの岩手山や黒石山の眺望、北上川の流軸景と対岸景、三ツ割からの岩手山の眺望、郊外農地(りんご畑)、小鹿公園等の生物的環境に対する評価が極めて高く、4類型の中で最も高い評価が得られた。
2.一方、国道4号線バイパス、上田―深沢線(主要幹線街路)、梨木町―上米内線(主要幹線街路)、庚申窪―三ツ割線(幹線道路)、高松―厨川線(幹線道路)、区画街路(1;緑ヶ丘ヒルズ)、その他多くの住宅地沿道、そして緑道(小道)等のインフラ機能空間に対する評価は、4類型の中で最も低い評価であったが、「どちらでもない」と言う評価の割合がとても高く、街路類型(性格)に関わらずに評価の差が少ないところが特徴となっている。
3.文化現象としての景観は、4類型の中では第3位の評価であった。高松神社、山祇(やまずみ)神社、岩手県営野球場、緑ヶ丘小学校、県立博物館、緑ヶ丘幼稚園、高松小学校等の宗教施設と教育施設に対する評価が高いのが特徴的である。
4.心理現象としての景観として、今回、注目したものは主として当該地域内の彫刻物10個であったが、4類型の中では第2位の評価を得ている。時の化石((松川善幸・抽象彫刻)(1989)、平和の礎(佐藤忠良・具象彫刻)(1994)、平和の記念像「望み」(増山俊春・具象彫刻)(1995)、VENUS-台地(長内努・やや抽象彫刻)(1992)に対する評価が極めて高かった。四十四田公園に設置されている抽象彫刻「時の化石」は背景の岩手山と作品との構図の構成がとても良く、高松の池の畔に設置されている具象彫刻「平和の礎」は近くで触れることができる身近で小さなかわいらしい作品である点が評価されたものと考えられる。
  以上の解析結果は、多分に、盛岡の多くの居住系地域の生活景の評価においても大略共通すると思われるので、本研究が地域住民の当該地域の生活景に対する共通認識を醸成するうえで有用な基礎資料となればと考えている。
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