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さあ、みんな岩山へ行こう!~さあどうする!これからの盛岡第11回~ 

都市デザイン総合研究センター 理事 中澤 昭典

インターネット上に「日本の夜景100選」というサイトがあるが、この中に「岩山」が選ばれていることを盛岡人の何人が知っているだろうか。実は恥ずかしながら私もそのことを知ったのはつい最近、県外から盛岡に移住してきた人の情報からである。
一般的に地元の人は地元のことを正しく認識していない。都市景観については“灯台下暗し”が普通である。日常に目にする風景は珍しくもなんともないのだから当然であるともいえるが、しかし、よそ者は時として地元の日常の風景に中に秀景や逸品を発見する。岩山はまさにそういうもののひとつなのだ。
“夜景100選”は各県から1個以上選定しているから岩手県代表として県庁所在地の岩山が選ばれるのは当たり前と思う人もいるかもしれないが、実はその評価は並ではない。星印11個を獲得しているが、これは東北から北関東では唯一で「函館山」や「東京タワー」と並んで全国最高級の評価点なのだ。
岩山は夜景もいいが、昼の景観はもっと素晴らしい。景観工学的に分析すると、見下す角度、俯瞰する角度は10°が自然に視線の落ちていく角度だと言われているが、岩山からこの10°前後で俯瞰するとまちの中心部に視線が落ちる。このため、ゆったりと落ち着いた感覚をもって盛岡の街を見下ろすことができるのである。
もう一つ岩山からの視対象として重要なものは岩手山である。
さて、岩山から見る岩手山は中央部から右と左の2つの顔を持つ。山の形も右側は女性的な優雅なスロープ曲線、左側は男性的険しさと力強さを見せる。景観構造的にみると、右側は平野部から山頂まで連続してとらえることができるが、このことは一旦視線をおろし平地から山を見上げることにより、山に向かう視線に平行な地表面を捉えることできる。このため山までの距離感を認識しやすくなり、平野部から山裾を経て山頂までの連続した地形のダイナミズムを実感する雄大な眺望を感じることができる。一方左側は手前の低い山並が山裾を隠す不可視領域が作られているため岩手山までの距離感がつかめない。このため奥に存在する山は現実感を失うとともに神秘性が生まれる。このように岩山は、岩手山の2つの異なった存在感を見せてくれる貴重な視点場でもある。
盛岡にとって岩山の存在は更にもう一つ重要な意味を持っている。街のコンパクト化と市民の帰属意識に大きな影響を与えている可能性があるのだ。岩山からの俯瞰景は西側に連なる山々に境界が区切られることにより、山のこちら側(here)と山の向こう側(There)を無意識のうちにはっきり認識させる効果を生む。こちら側を意識することにより街全体に内輪感覚が醸成され、帰属意識や街への愛着を芽生えさせていると考えられる。
また、最近コンパクトシティー論が各地で唱えられているが、街が一望できることはコンパクトな街づくりを行う上で重要な必要条件の一つである。盛南開発により太田・本宮地区に新しいまちが出来てきたが、これらを含めて視野の中に一望できることにより街の一体性を実感できるのである。盛岡の町にも郊外化は進行してきてはいるが、それでもなお茫洋とした感覚を抱くことが無いのは、山に挟まれた地形構造だけでなく、市民が気軽に訪れることができる視点場としての岩山の存在に依るところは大きい。
さあ、みんな岩山へ行こう!

岩山2 無題


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