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近隣住区の都市デザイン(Urban design)の方法について~さあどうするこれからも盛岡第10回~ 

NPO都市デザイン総合研究センター理事長
(工学博士 岩手大学名誉教授) 安藤 昭

近年、我々は多くの危機に直面している。地球生態系保全の危機、社会規範崩壊の危機、社会組織溶解の危機、個人の心の空洞化をもたらす高度情報社会の危機がこれである。そして、2011年3月11日発生の東日本大震災は、これらのまちづくりの課題の克服を一層困難なものにしてしまった。
 そのため、都市計画法の新改正(平成4年;1992)によって、マスタープラン(基本方針)の確立や地区計画制度の拡充がなされてから23年、景観法の制定(平成16年;2004)から11年が経過したが、「都市計画」、「地区計画」、「近隣住区の景観・設計」という都市計画立案の一般的プロセスについて、首尾一貫した視座の下で実施したいという欲求が今ほど強く抱かれるときはない。
 ところで、都市を有機体として捉え、その構造を細胞的組織の結合体として認識し、計画概念としての近隣住区やコミュニティを有機体の健全な細胞的単位に類似させてデザインすることを主張したのはP.ゲデス(Patrik Geddes;1915)に始まると言われているが、住宅地の地区計画の原型として著名な近隣住区の理論(neighbourhood unit)は、その提唱者であるクラレンス・アーサー・ペリー(C.A.Perry)(1929)までさかのぼることができる。
C.A.ペリー提案の近隣住区計画はいわゆる地区計画そのものではなく、住居系地区の基礎単位に関する計画といえるもので、学校・公民館のような公共施設を地区の中心に配置して、近隣商業、公園を住居系地区の要所に合理的に配置し、自動車交通の影響を住区の中では極力減らすように街路網を構成する計画になっている。そのため、幹線道路は近隣住区の分断を避け、通過交通を防ぐように近隣住区の外周を通す。小学校を中心とする徒歩圏(半径1/4 Mail≒400m又は半径1/2 Mail≒800m)に居住する、校区人口(約1万人~5千人)を近隣住区の規模としている。
 C.A.ペリーの近隣住区の提案の評価には、1920年代のアメリカの都市の社会的背景を見逃すことは出来ないが、幾何学的で、閉鎖的な住区構成の提案はもはや現在の都市生活には適さないとするアイザックス、デューイ、ジェコブスなどの批判がある。一方において、コミュニティ計画の手法として枢要な部分を占めるとするルイス・マンフォードをはじめとする弁護者も多い。
ともあれ、高度情報化社会のもたらす生態学的、社会的、心理的心、つまり人類文化の様々な危機に直面して混沌としてきた今こそ、近隣住区の社会的機能ばかりでなく、住区をいつも眺め、その中で生活し、体験し、経験している、つまり住区を利用する人々の日常的な視点から整理し統合し、新たな生活景として再体制化(再構築)することが不可欠であると思われる。
さて,上述のような視点に立って,近隣住区の景観を人間(評価主体)と外界(都市)との間の視知覚的な関係性として捉えようとするとき,人間集団(コミュニティ-プライバシー)と都市の視知覚的環境(空間-景観)の2つの尺度を交差させると,近隣住区の大略の景観構成を描きだすことができる(図−1参照)。そして、本論では、図―1に示す ①生物的環境、②インフラ機能空間、③文化現象としての景観、及び④心理現象としての景観について、4つの視角から問題点と課題を浮き彫りにしながら、近隣住区の特性と都市計画マスタープラン(都市計画の基本方針)を基調に、①~④を時計回りにオーバーレイして逐次再体制化すれば、様々な危機に対して打たれ強く、機能的で、個性的で、美しい生活景が創造されることを提案しようとするものである。逐次付加される上層の機能ほど人間に特有のものであることは言うまでもない.
私が, 「都市とは人間(集団)の真の存在のための、胎生的進化の過程における風土の様相である」と定義して、市街地の用途別面積比率で約60%~70%を占める住居系地域の都市デザインに注目するのは、図―1の都市景観の構成の中に都市の本質と存在原理を見出すことができるからである。

図ー1都市景観の構成(その2)   近隣住区

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